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歯科コラム

【2023年最新】歯科個別指導を乗り切るポイント – 業界30年以上のプロが解説

医院に対しては、厚生局の個別指導が行われています。この個別指導は、ケースによっては非常にプレッシャーがかかるものです。

個別指導への対応を誤ると、約1年後の再指導につながる可能性があるだけでなく、最悪の場合は、監査に発展してしまいます。監査に発展した場合は、保険医療機関としての指定を取り消されるケースがあります。

厚生労働省の歯科個別指導とは?

歯科保険診療は本来、療養担当規則および診療報酬点数表等を遵守しなければなりません。
そのため、保険制度が円滑に運用されるように厚生労働省によって行われる行政指導のことを、保険医療機関への「指導」といいます。
指導の種類は大きく分けて以下の3つになります。

1.集団指導

大きな会場で行われるもので、保険医療機関の新規指定および指定更新にあたっての講習会や、診療報酬改定の時に厚生局と医師会が共同で開催する点数説明会など。

2.集団的個別指導

講習会形式の「集団部分」と個々の医療機関との面接形式の「個別部分」からなっています。選定対象は、15の類型区分別に1件当たりのレセプトで基準平均点(診療所は平均点数×1.2倍、病院は×1.1倍)を超える医療機関を対象に、上位8%が選定されます。なお、前年度及び前々年度に個別指導・新規指導・集団的個別指導を受けた医療機関と、当年度に個別指導・新規指導を予定している医療機関は選定から除外されます。

3.個別指導

集団指導や集団的個別指導を経ても尚、診療報酬の実績が都道府県平均点数の約1.2倍を超える医療機関を、選定委員会で選定され個別指導の対象となります。
約2時間で30人分の診療報酬明細書について指導があり、自主返還が求められる場合は過去1年分の全診療について自主点検が求められ、自主返還の措置がとられる可能性があります。

引用:東京保険医協会

歯科個別指導の対象となる4つのケース

個別指導は、新規指定を対象にするもの(新規個別指導/新規指導)と、既指定を対象とするものに分けられます。
新規指導は、新規指定後概ね半年から1年以内に実施される指導です。
既指定の医療機関に対する個別指導の選定理由は、以下の4つに分けられます。

①情報提供

被保険者・審査支払機関等から診療内容・診療報酬の請求に関する情報提供があり、厚生局が必要と認めた医療機関(このケースが最も多い)
正しい保険請求が出来ていなければ、被保険者、保険者から厚生局に通報され、そこから個別指導につながる可能性があります。

②再指導

前回の個別指導・新規指導の結果が再指導になった医療機関

③高点数

前々年度に集団的個別指導を受け、前年度も高点数である医療機関(上位から)
前年のレセプト1件当たりの都道府県平均点数の1.2倍を超え、かつ上位8%の医療機関が対象となります。

④その他

監査の結果、戒告・注意となった医療機関や、正当な理由なく集団的個別移動を拒否した医療機関

引用:東京保険医協会

歯科個別指導の結果は4種類

個別指導の結果は、個別指導の約1か月後に文書で郵送されてきます。
結果には以下の4種類があります。

①概ね妥当

特に問題がなかった場合

②経過観察

指導で指摘された点が軽微な場合

③再指導

指導で問題点が指摘され、その後厚生局が確認する必要があると判断した場合
再指導の対象になった医院は1年後にもう一度個別指導を受けることになります。

④要監査

個別指導によって不正請求が明らかになった場合。
監査が行われた場合は、その結果に応じて「注意」、「戒告」、「取消」などの処分がされます。この中でも「取消」は、保険医療機関または保険医としての指定を取り消すものであり、最大で5年間、保険診療ができなくなります。
さらに、指導の結果をもとに「改善報告書の提出」と「診療報酬の自主返還」を求められることがあります。この場合は、結果の通知とあわせて「改善報告書」や「自主返還についての同意書」が送られてきます。

歯科個別指導を受けるにあたって知っておくべき3つのポイント

個別指導を受ける際には、以下の点を必ず留意するようにしましょう。

1.自分が処置した内容について根拠や経緯を正しく説明できるか

毎日多くの診療をし、保険請求をするわけですから、診療録の記載までに気が回らず、診療録の記載が、保険診療の規則から外れている可能性があります。

2.患者様に提出する文書を必ず渡していて、その控えが正しく保管されているか。

3.療養担当規則を理解している状態であるか

問題点を指摘された際に、療養担当規則について聞かれることがあります。

個別指導をクリアするための診療録記載の注意点

保険診療は複雑なルールでできており、保険診療報酬の算定については、日常的に注意を払う必要があります。自身では不正をしていないつもりであっても、算定のルールに従っていなければ不当請求とみなされます。
少しでも不当請求をなくすために以下の点に注意しましょう。

治療の都度、カルテにコメントを残す

患者様に治療行為を行う際には、当然その経緯や目的があるはずです。個別指導の際にこれらの内容について返答ができなければ、指導員から不信に思われても仕方ありません。
しっかりと内容を説明できるようにしましょう。

療養担当規則を理解し、それから外れた保険請求はしない

療養担当規則を理解し、それに則った治療を行うことができていれば、個別指導に至ることもありません。治療の際には療養担当規則を確認することが理想です。

歯科の個別指導は年々厳しくなっている?

歯科の個別指導は年々厳しくなっている?

厚生局は、医療機関の指導・監査を強化しています。これは、不正請求の増加が影響しており、返還請求は毎年増加しています。特に、新規開業医療機関は、診療報酬請求の過誤が多くみられるため、平成21年以降の新規開業医療機関を強化対象となっています。

歯科個別指導はプロに相談するのがおすすめ

歯科個別指導は、プロに相談するのがおすすめ

やみくもに個別指導の準備にとりかかり、適切な準備ができないと、再指導や最悪の場合は保険医取り消し処分を受けてしまう可能性があります。「厚労省から通達される法改定の内容を理解するのが大変だ」、「診療報酬の基準が複雑でよくわからない」、そんな方はプロに相談するといいでしょう。個別指導にかかった医院の相談はもちろん、まだ個別指導の対象でない方も、個別指導を受けないように適正な歯科運営をするポイントを教えてくれます。

個別指導の相談に乗ってくれる会社はたくさんありますが、その中でも「デンタルパートナー」がおすすめです。
デンタルパートナーは100件以上の個別指導の相談を受けた経験豊富なスタッフが在籍しているため、個別指導に備えるべきポイントをしっかりと把握しています。

まとめ

個別指導は、医院にとって非常にプレッシャーがかかるものです。
個別指導になった場合でも、きちんと対策、準備をすれば再指導や監査を回避できる可能性が高まります。
しかし、これらに「時間やコストを割けない」、「法改定の内容を理解するのが大変」、「診療報酬の基準が複雑」とお困りの方は、思い切ってプロに依頼することをお勧めします。
院内のスタッフでこれらの業務を円滑に処理できることが理想ですが、一番重要なことは患者様にご迷惑をお掛けしないように正しい保険請求を行う事です。正しい保険請求を継続して行うことが困難な方は、早めに業者に依頼してみましょう。